うどん大学キャンパスライフ

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うどん大学1年生の味噌煮込みうどんは、学食で最上級生の讃岐うどんと伊勢うどんにからまれていた。
「おまえ、うどんで味噌って訳わかんねー」
「しかもめちゃ硬いし。どんだけ煮ても半生。笑うわ」
悔しさのあまり目に出汁を浮かべた彼に水沢うどんが近づいた。彼は水沢でも屈指の老舗『田丸屋』の御曹司だ。

「彼の麺が硬いのは捏ねる時に塩を使わないからだよ。塩はグルテンを強めてコシを出す。でも一旦麺を茹でて塩抜きしなきゃいけない」
みんなぽかんと口を開けた。
「塩分のない彼は土鍋に入れた出汁で直接煮込める。それで出汁のしみた独特の旨さのうどんになるんだ」
水沢の理知的な解説に押された讃岐と伊勢は、そそくさと消えた。
代わって稲庭うどんや氷見うどんが駆け寄る。
「気にするな。君は君だ」
「そうよ。今は個性の時代よ」

味噌煮込みうどんの目から一粒の出汁がこぼれた。
あたりにほんわりと味噌の香りが漂った。
青春
公開:19/11/21 12:04
更新:19/11/23 16:07
香川・三重の方すみません 味噌煮込みをいじめないで 慣れれば美味しいよ 寒い冬には最適♪

秋田柴子

2019年11月、SSGの庭師となりました
現在は主にnoteと公募でSS~長編を書いています
留守ばかりですみません

【活動歴】
・東京新聞300文字小説 優秀賞
・『第二回日本おいしい小説大賞』最終候補(小学館)
・note×Panasonic「思い込みが変わったこと」コンテスト 企業賞
・SSマガジン『ベリショーズ』掲載
(Kindle無料配信中)

【近況】
 第31回やまなし文学賞 佳作→ 作品集として書籍化(Amazonにて販売中)
 小布施『本をつくるプロジェクト』優秀賞

【note】
 https://note.com/akishiba_note

【Twitter】
 https://twitter.com/CNecozo

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