救援

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「おい、ヘリが来たぞ!」

洪水で橋が流され三日。辺境のこの村は陸の孤島と化していた。不安に怯える中、空から舞い降りた一機のヘリ。よかった、これで助かる…。

やがてヘリは小高い丘に着陸し、一人の男が降り立った。羽織袴を身にまとい、頭にはちょんまげ。

「拙者をお呼びでござるか?武士が必要なのであろう?」
「いや、今必要なのは物資で、武士では…」
「ふむ…この村は、質素倹約に励んでいるようじゃの」
「…こういう状況ですからね」
「しかし、志は強く持たねばならんぞ。武士は食わねど高楊枝じゃ」
「今それ言います?こっちは真剣なんですよ!」
「なに?…受けて立つ!」
「いや、その真剣ではなく…」
「ハッハ、冗談じゃ。ちゃんと施しは用意してある!」

彼はヘリに戻ると、木箱を小脇に抱え戻ってきた。

「困難の際に使えとご先祖様も申しておった…。埋蔵金じゃ!」

カラスが一羽、アホウと鳴いて飛んだ。
その他
公開:19/11/21 12:00

makihide00( 鳥取→東京→福岡 )

30代後半になりTwitterを開設し、ふとしたきっかけで54字の物語を書き始め、このたびこちらにもお邪魔させて頂きました。

長い話は不得手です。400字で他愛もない小噺を時々書いていければなぁと思っております。よろしくお願いします。

Twitterのほうでは54字の物語を毎日アップしております。もろもろのくだらない呟きとともに…。
https://twitter.com/makihide00

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