どんな人が好きですか？

中ジョッキをコンッと置くと、グラスの表面についた水滴が重力に引き寄せられて落ちていく。

「充はさ、どんな女の子が好きなの？」
俺はこの話題を出されると困ってしまう。

「えーっと…。気が合いそうな子…とか？」
自分で答えているにも関わらず、語尾が疑問形であがってしまう。

「そういう無難な回答はいいんだって、同期同士なんだからさ」
みんなは自分の気持ちをどれだけ把握しているのだろう。

「お喋りな子とか？」
「あ－、充、静かだもんな！」

無口な子と静かに過ごす時間も嫌いではない。自分の気持ちは矛盾だらけで、一つの答えを導き出すのは難しい。

そう思いながらも後日、「どんな男の人が好きなの？」そんなことをきいている自分がいた。

「難しい」といって逃げていただけかもしれない。ひとつひとつ自分を開示することで、初めてつながることができる。互いに提供する情報が互いの関係を強くする。