エールを一本

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 オフィス近く、世界のビールが飲める店。自分と同期で、世界に進出する先輩を送る。先輩はスタウト、自分はピルスナー、同期は「男は黙って」国産。

「終わった後の一杯は爽快だねえ」先輩が一気に飲み干す。
「引き継ぎ完璧でしたね」いつも通りキレを感じる。
「俺達に渡されたの、これからだけどな」同期がこぼす。

 先輩に唐揚げと揚げ出し豆腐を勧める。
「この味もしばらくさよならだねえ」
「向こうでもバランスよく食べて下さいよ」
「俺達が頼んだの、揚げ物ばかりだけどな」
 ピルスナーが苦い。

「これからは君達が看板だねえ」
 消えていく泡。後に残される味。このあと色々膨らむとしても、今はエールの華やかさこそ相応しいのだろう。ビール瓶を持って、立ち上がる。
「それではぁ、先輩の旅立ちを祝してぇ、エール一本」
「俺達が飲んでるの、ラガーだけどな」
青春
公開:19/11/20 18:01
更新:19/11/21 18:45

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