半透明なふんどし

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日芝ケミストリー社の研究主任、左山は頭を悩ませていた。
光の透過率を自在に調節できる新しいポリマー繊維の開発に成功したのはいいが、この素材の販路をどこに広げれば良いのかアイデアがなかったのだ。
最初はカーテンを売ってみた。
窓から室内に取り入れる採光を調節できるのが売りだったが、思ったほどには売れなかった。
次はリュックを開発した。
開けなくても中身が見れるという便利さがヒットするに違いないと思ったが、期待は裏切られた。
もう後がない、と左山は思った。
半ばやけくそで「半透明のふんどし」なる商品を発表し、辞表も準備した。
これはなぜかたくさん売れた。
テレビをつけると、外国の王族が訪日していた。
迎えた閣僚や通訳、SPまで、みんな全裸に半透明のふんどしをつけていた。
テロ対策ということらしい。
これが契機となり、海外の発注も増えた。
辞表は出さずに済んだが、左山は釈然としなかった。
その他
公開:19/11/21 20:33

水素カフェ( 東京 )

 

最近は小説以外にもお絵描きやゲームシナリオの執筆など創作の幅を広げており、相対的にSS投稿が遅くなっております。…スミマセン。
あれやこれやとやりたいことが多すぎて大変です…。

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