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彼と別れてから湿布をやめられないでいる。
エレベーターガールの仕事から帰ると、私はまず玄関で飼っているオカメインコに水と餌をやる。そしてカゴから放ち、少しばかりの自由をあげる。それから私は冷蔵庫の冷えた湿布を取り出して、リビングのいつものソファに座ると、間接照明だけをつける。夏なら冷房を、冬なら暖房をつけてスカートをおろす。餌に夢中だった彼もそのときがくると私のことをじっと見ている。音も立てずに私の一挙手一投足、そして恍惚に至るまでを。私が太ももの内側に湿布を貼り終える、すると彼は部屋を飛ぶのだ。それは祝祭のように。
オカメインコはインコという名前でありながらインコではない。オウムだ。私はかつてそのことに驚き、彼と別れた衝撃から救われた。
来る日も来る日もエレベーターガールを名乗りながら、私はもうガールなんかじゃない。太ももに怪我などあるはずもない。剥がしてはまた新しいのを貼るの。一晩中。
公開:19/11/21 17:40
更新:19/11/21 17:54

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