王子さまの見た夕日

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「王さまならなんでもできると思っていたけれど、夕日を観るのには待たなければいけなかったんだ。」

「まあ、権力者なんて、思ったよりも力がないものです。独裁者がなんでもできるなんて妄想だと思いますよ。」

壊れたオートバイのエンジンのプラグに火が入り、希望が見えてきた僕は少しだけ心にゆとりができていた。

「うん。ぼくはその時王さまのマントのすその上で、夕日が沈むのをじっと待っていたよ。そのかいがあってとてもきれいな景色だった。」

「それは僕も見てみたかったな。」

その時の会話を思い出しながら、僕は僕の思い通りにならないゆきを見つめていた。

「まったく、あんたはいつも勝手ばかり。私がなんでもハイハイって聞くとでも思ってた?」

王様でもない僕は素直に待つしかない。

「じゃ、気分転換に夕日を見に散歩に行こうよ。」

「今度だけだからね。わがまま小僧め!」
ファンタジー
公開:19/11/20 06:00
182 星の王子さま 王子さまと王様編

武蔵の国のオオカミ( ここ、ツイッタランド、タイッツー )

武蔵の国の辺境に棲息する“ひとでなし”のオオカミです。

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