私をくるむもの

うう…寒い寒い。何でこの時代こんなに寒いのよ。こんなに寒いのに温まる道具が火鉢しかないってどういうこと？文化レベル低すぎるでしょう。せめて電気ストーブくらいないの？
あ～あ、こんなことだったら五つの宝なんて言わずに火鼠の皮衣だけ取ってくるよう言っておけばよかった…火鼠っていうぐらいだから、くるめばきっと温かいわよね？
でも鼠か…そう考えると嫌だわ。私がくるむものは絢爛豪華なコートと決まっているの。
それにしても寒い！そうだ！お風呂に入ればいいんだわ！お婆さん！今すぐお風呂沸かして！
えっ？今は忙しいからダメ？チッ！使えねぇなぁ…
あ～あ、この時代って本当につまんない。月の都が懐かしいわ。
そう言えば月から手紙が来てたわね。何々…近々、貴女を逮捕しに参ります…って、これ逮捕状じゃない！
ちょっと帝！今すぐ私を護って！

「何か、かぐや姫がま～た無茶を言っとるらしいぞ」
「何、いつもの事さね」