王子さまの折り紙

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「ねえ、折り紙折ってよ。日本人なら誰でもできるんでしょ?」

砂漠の真ん中でオートバイの修理に躍起になっている僕に、突然現れた金髪の男の子が話しかけてきた。

「困ったなあ。僕、今忙しいんだ。それに、折り紙なんてもう何年もやってないし、鶴くらいしか作れないよ。」

「それでもいいから、早く折ってよ。ぼくの星、虫がたくさん発生しちゃって。鶴って虫を食べるんだよね?」

「仕方ないなあ。じゃあ、下手だけど鶴。はい。」

「わあ、ありがとう。これでもう虫の心配はいらないね。」

それが、僕と王子さまとの出会いだったんだ。

そんな与太話をしながら、喫茶店のテーブルの上にあるナプキンで鶴を折って、僕は向かいの席のゆきに見せた。

「ホント、あんた下手だね。いろんなことが。」

そういいつつ、鶴の首に掛かった指輪を観る彼女の顔は笑っていた。
ファンタジー
公開:19/11/19 11:59
更新:19/11/26 19:43
180 折り鶴 星の王子さま バオバブと羊編 オオカミの自信作

武蔵の国のオオカミ( ここ、ツイッタランド、タイッツー )

武蔵の国の辺境に棲息する“ひとでなし”のオオカミです。

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