大量出血死

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 奴……。奴は、奴はどこへ行った?

 鋭い視線で辺りを見渡しながら、女は奴を追っていた。見つければ、絶対に返り討ちにして、殺してやると決めていた。
 だが、奴は中々現れない。女を陥れた奴は、再度女のこの滑るような火照った肌が気に入り舞い戻るはず。
 風呂上りのバスタオルを巻いた柔肌の脹脛の痒みが治らない。

 居た!

「血を吸ったこの吸血鬼め!」

 女の血を吸い、遅速で飛ぶ奴を見つけ、女は両手、掌を奴にぶち当てた。大量出血で奴は無残にも女の掌で死に絶えていた。
 この蚊は、幾つもの人間を吸ったのか、赤く血みどろく掌を覆っていた。脹脛の痒みが度を増した瞬間でもあった。

この季節外れの、吸血鬼め!
その他
公開:19/11/20 17:22
更新:19/11/21 01:41

二月三月( アルファポリスとyoutube )

普段は中編、短編などをメイン活動しております。
小説は4年前から書き始めて、作家になれたらなあ?と考えるようになりました。
でもショートショートってすっごく難しいですよね。
どうぞよろしくお願いいたします。

作家の小狐裕介さんのyoutubeでこのサイトがショートショートに適したサイトだとお聞きして、こちらに登録することにしました。
 

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