王子さまの見た実業家

4
4

「その星には実業家がいてね、毎日ずっと紙とにらめっこしてブツブツ言ってるんだ。」

砂漠の真ん中で壊れたオートバイの回路図を見ながら、ああでもない、こうでもないと僕は考えていたから、自然と何かつぶやいていたのかもしれない。

「それがどうかしたんですか?」

「おとなって大変なんだな。お金のことばかり考えて、って思ったのさ。」

「そうそう。大人は生きていかなきゃならないんで、お金を稼ぐことに必死なんですよ。」

「そんなものかねえ」

王子さまとのやりとりを思い出し、今こうやって目の前にある請求書の数々とにらめっこしながら、僕は悩んでいた。

「あんたの稼ぎがないから、あたしがこうやって働くしかないんでしょ。その分、しっかりと小説書きなよ。」

本当に申し訳ない。ゆきに対して平身低頭するしか僕にはできなかった。
ファンタジー
公開:19/11/23 06:00
185 星の王子さま 実業家編

武蔵の国のオオカミ( ここ、ツイッタランド、タイッツー )

武蔵の国の辺境に棲息する“ひとでなし”のオオカミです。

ツイッター
https://mobile.twitter.com/ookami1910
タイッツー
https://taittsuu.com/users/ookami1910/profiles

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容