ここは戦場だ

「頭、ふっとばされたいの？」

いきなり私は突き飛ばされた。全身黒のレザースーツに身を包んだ金髪の女にだ。ボディーラインが優雅な曲線を描いている。

「何、ボケーっと見てるんだい！とっとと立ってついておいで。」

ここは一種の戦場だった。

怪物が暴れまわり、化け物が跳梁跋扈する。理不尽なことで人が殺され、わけのわからない自然法則が展開される。サイコパスな女がいたり、露出狂の変態男が闊歩している。

こんなはずじゃなかった。もっとほのぼのとした世界かと思ったこともあった。しかし現実は厳しいものを突きつけてくる。折れそうな心をもっと強くしなければ、孤独に耐える強靭な精神を鍛えなければ、ここでは生きていけない。

ようやく最近わかったことだ。

倒れて泥で汚れた顔の私に、レザースーツの女が微笑みながら手を差し伸ばした。

「ショートショートガーデンへようこそ。」