あこがれの反抗期

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正男は高校三年生。母と二人暮らしだ。

正男は、反抗期に憧れていた。なんだか大人になったようで、かっこいいと思っていたのだ。
「おれも高3だし、そろそろ反抗期がないと、反抗期が終わっちまうよな」

母親が、パートから帰ってくると、部屋中の電気が付けっぱなしになっていた。
「正男!電気つけっぱなしじゃないの」
「消すのがめんどくせーんだよ」
正男は、部屋に戻ってガッツポーズした。
「やった!おれ反抗しちゃったよ」

母は、仕方なく電気を消しに回った。
「しょうがないわねぇ」

その夜、母の部屋から、すすり泣く声が聞こえてきた。
正男が部屋を覗くと、母が背を向けて泣いていた。正男は反抗したことをすごく後悔した。

その朝。正男は謝ることにした。
「母ちゃん。きのうはごめん、電気ちゃんと消すから」
「わかったら、いいのよ」

その夜。また母がすすり泣いていた。

「この小説、ほんと泣けるのよね」
その他
公開:19/11/18 12:51
更新:19/11/18 12:57
スクー 付けっぱなしの反抗期

豊丸晃生( 大阪 )

ショートショートの神様、星 新一を崇拝しています。お笑い好きで怪談も好き。
お笑いネタのような作品が多いですね(笑)
【受賞作品】
「渋谷シティ」
渋谷ショートショートコンテスト優秀賞受賞。
「我が家の食卓」
ベルモニーショートショートコンテスト入賞。
「電車家族」
隕石家族ショートショートコンテスト入賞。
「大男の力自慢大会」
「スカイフィッシング」
空想競技2020ショートショートコンテストW入賞。

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