秋の混浴温泉

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色とりどりの暖色系の葉っぱが舞い、湯気の上に落ちてくる。ひんやりとした風が汗をかいた顔をなでる。

こうやって露天の温泉につかって紅葉を眺めるのは気分がいいもんだ。

突然、女子大生の3人組が入ってきて、
「きゃあ、先客がいる!」
「ちょい悪エロオヤジだ!」
「なんか恥ずかしいな」
などと言いながら私の周りにやってくる。

もし自分がこの娘たちの父親だったら、
「混浴温泉へ行くような子に育てた覚えはない。はしたない!」
などと思うんだろうが、実際に目の前にしたらデレデレになってしまう。

「おじさん、かっこいい♪」
「ねえねえ、ひげさわらせてよ」
「あまりジロジロ見ないでくださいね」

などとキャッキャウフフしているうちに、いつの間にか夜になっていた。どうやら私は気絶していたらしい。それも、田んぼの真ん中で。

おかしい!
私は混浴温泉に来ていたはずなのに。

遠くで狐の鳴く声が聞こえた。
ファンタジー
公開:19/11/18 12:12
更新:19/11/26 19:43
178 温泉 混浴 狐に化かされた オオカミの自信作

武蔵の国のオオカミ( ここ、ツイッタランド、タイッツー )

武蔵の国の辺境に棲息する“ひとでなし”のオオカミです。

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