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「先ほど地球と交信ができた。明日、救援に来るという話だ」
 機関士と医師。残された2人は同時に船の酸素計を見つめる。
「残量は少ない。もって1人分。いや、それも危ういな」
 一時沈黙が訪れる。
 ふと、医師が腰のポーチから錠剤を2錠取出した。
「1つは安らかに苦痛から逃れられる宇宙用緊急避難装置。
 もう1つは眠れない夜に使う薬。
 どちらかを選ぶ。公平にくじとしよう」
 2人は1錠ずつ選び、同時に呑みこんだ。
「効果は、どれくらいで現れる?」
「両方ともすぐさ。ほら、もう目がぼやけてきたろう」
「そうだな……」機関士は沈黙した。
 医師は黙ってそれを見届ける。
 そして、ポーチから『本物の〈眠れない仕事がある夜の薬〉』を取り出し飲みこんだ。

 翌日、救助隊は昏睡状態の乗員1名を発見した。
 他に見つかったのは外部ハッチが開いた跡だけだった。
SF
公開:19/11/18 21:50

ルイス足永( 関東 ケヤキの葉の上 )

ルイス足永(アシナガ)と申します。
普段はニコニコ静画に画像付きの作品を転がしています。
こちらにも載せれそうな作品の投稿をしたいと思います。
twitter:https://twitter.com/otoshibumi57
ニコニコ静画:http://seiga.nicovideo.jp/clip/2497487

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