おいしくなりますように
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「いただきます」
私は今日も食べる。いっぱい食べて、早く成長して、誰かの役に立ちたい。
と、教室のドアが開き、先生が入ってきたと同時に、いつもの常套句を叫ぶ。
「君達は宝だ! さあ! 今日も食べて実らせよう。人類の生きる希望達よ!」
教壇の上に立った先生が合掌する。
「おいしくなりますように」
最後だけは静かに、祈るようにそう言うと、私達も合掌。黙祷して『おいしくなりますように』と同じく祈る。
私は誰かの糧になる。
でも一つだけ心配なことがある。私は細身で、人より多く食べても脂肪がつきにくい。これでは満足してもらえないのではないかと、悩んでいる。
隣の席の子を見る。その子は凄く大きな体で、とても満足して貰えそうだ。羨ましい。
ぼーっとその子を見ていると、最近思うことがある。
私は垂れそうになった唾液を啜り戻す。
私たちって、どんな味なんだろう。
私は今日も食べる。いっぱい食べて、早く成長して、誰かの役に立ちたい。
と、教室のドアが開き、先生が入ってきたと同時に、いつもの常套句を叫ぶ。
「君達は宝だ! さあ! 今日も食べて実らせよう。人類の生きる希望達よ!」
教壇の上に立った先生が合掌する。
「おいしくなりますように」
最後だけは静かに、祈るようにそう言うと、私達も合掌。黙祷して『おいしくなりますように』と同じく祈る。
私は誰かの糧になる。
でも一つだけ心配なことがある。私は細身で、人より多く食べても脂肪がつきにくい。これでは満足してもらえないのではないかと、悩んでいる。
隣の席の子を見る。その子は凄く大きな体で、とても満足して貰えそうだ。羨ましい。
ぼーっとその子を見ていると、最近思うことがある。
私は垂れそうになった唾液を啜り戻す。
私たちって、どんな味なんだろう。
SF
公開:19/11/18 10:00
きまぐれ投稿
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