おいしくなりますように

2
5

「いただきます」

私は今日も食べる。いっぱい食べて、早く成長して、誰かの役に立ちたい。

と、教室のドアが開き、先生が入ってきたと同時に、いつもの常套句を叫ぶ。
「君達は宝だ! さあ! 今日も食べて実らせよう。人類の生きる希望達よ!」

教壇の上に立った先生が合掌する。
「おいしくなりますように」
最後だけは静かに、祈るようにそう言うと、私達も合掌。黙祷して『おいしくなりますように』と同じく祈る。

私は誰かの糧になる。

でも一つだけ心配なことがある。私は細身で、人より多く食べても脂肪がつきにくい。これでは満足してもらえないのではないかと、悩んでいる。

隣の席の子を見る。その子は凄く大きな体で、とても満足して貰えそうだ。羨ましい。

ぼーっとその子を見ていると、最近思うことがある。

私は垂れそうになった唾液を啜り戻す。

私たちって、どんな味なんだろう。
SF
公開:19/11/18 10:00

久遠( 愛知県 )

きまぐれ投稿

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容