人待ちのプロ

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人待ちのプロに出会った 。
「もう二十分も待ってるのに、連絡一つ寄越さないなんて、人を馬鹿にしてる」
殺気立つ私に、人待ちのプロはココアを買って来るように指示した。
温かいココアを飲むと、腹の底で燃え盛っていた怒りが治まってきた。
「この道のプロからのアドバイスです。『疲れたら休む』これに尽きます」
ちなみに、僕はこれを守って十年待ちましたよと、微笑む姿は貫禄に満ちていた。
ホッと一息ついたら、なんだか音楽が聴きたくなった。
お気に入り曲を聴きながら、ココアを飲む。
なんだかちょっと贅沢だ。
「私、楽しみ過ぎかな?」
傍の人待ちのプロに問うと、
「人待ちの極意、それは『待ち人が来た時、笑顔でいる』ことですから、過程は何でも良いんですよ」と、プロは朗らかに微笑んでいた。
約束の時間から、三十分。
私はもう少し待ってみることにした。
ファンタジー
公開:19/11/17 23:59

yori

読書が趣味なのですが、読むだけじゃなく自分でもお話を書いてみたくなり、筆をとりました_φ(・_・
ファンタジー系のお話が多くなると思います。
ゆくゆくはSF系にも挑戦したい。
主に土日に出没します⊂((・x・))⊃

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