佐々木
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スクランブル交差点の角、窮屈な喫煙所で4本目のタバコに火をつけている男、佐々木である。平日はシャカリキ社畜が如く働き、休日は一人渋谷で時間を潰す。ちなみに友達はいないわけではない。ただ友達と予定組むということは積極的にやらないようにしている。自分への好意を少しでも感じる人がいると、その人と接するのが怖くなる。自分は好意に足る人間でないことが、暫くのうちにバレてしまう。人に期待するのをやめた時から、佐々木は渋谷に通いだした。
渋谷は青くて、佐々木は好きだった。真っ青で冷たくて、佐々木のことなんかいないように扱ってくれる。何の期待も責任もない存在でいさせてくれる。
5本目のタバコを取り出した時、佐々木の目の前の青い世界が、ほんのり青と赤のグラデーションがかかり、徐々に赤が濃くなっていく。
その赤の一番濃い部分を目で追うと、一人の女がスクランブル交差点を抜けてこちらに歩いてきている。
渋谷は青くて、佐々木は好きだった。真っ青で冷たくて、佐々木のことなんかいないように扱ってくれる。何の期待も責任もない存在でいさせてくれる。
5本目のタバコを取り出した時、佐々木の目の前の青い世界が、ほんのり青と赤のグラデーションがかかり、徐々に赤が濃くなっていく。
その赤の一番濃い部分を目で追うと、一人の女がスクランブル交差点を抜けてこちらに歩いてきている。
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公開:19/11/17 23:59
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