257. 横断歩道の縦の線の行方

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渋谷のスクランブル交差点の横断歩道の白い縦のラインは雨の日には水捌けの障害となり転ぶ者が後を絶たないので協議を重ね、とうとう区は外すことにした。
工事は深夜、人が少ない時間帯に始まった。
外したラインは靴下屋を経営するとある老夫婦の元へ。再利用するためだ。

老夫婦がそのラインを特別な機械へ通すと素粒子となり白い紐状になった。
その紐をおばあさんがまた別の機械へ通すと、もこもことした靴下となった。
そうして出来た沢山の靴下を、孫の経営する109の雑貨店に出すと

「何これ、マジ初めて観たんだけど!くしゅくしゅでカワイイし、もしかして太ももが痩せて見えるんじゃね?w」
と通りすがりのJKの目に留まり、次々と売れていった。

それが後にルーズソックスと呼ばれ全国的に流行ることとなるのだが、イブの夜、そのニュースを店のTVで観ていたおじいさんはニッと笑むと、新しく作り直した白い髭をたくわえた。
SF
公開:19/11/17 23:45
更新:20/04/06 21:35

ことのは もも。( 日本 関東 )

日本語が好き♡
18歳の頃から時々文章を書いています。
短い物語が好きです。
どれかひとつでも誰かの心に届きます様に☆
感想はいつでもお待ちしています!
宜しくお願い致します。

こちらでは2018年5月から書き始めて、2020年11月の時点で300作になりました。
これからもゆっくりですが、コツコツと書いていきたいと思います(*^^*)

2019年 プチコン新生活優秀賞受賞
2020年 DJ MARUKOME読めるカレー大賞特別賞受賞
2021年 ベルモニー縁コンテスト 入選

 

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