しぶやきいも
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明け方のハチ公前。ぼんやり交差点を眺める僕の手には一錠のドラッグ。数時間前に道玄坂の雑居ビルで入手したモノだ。
この街で夢も希望も打ち砕かれた僕は、闇へと堕ちるしかない。ただ、まだ踏ん切りが付かずにいた。
「しーぶやーきいもー」
いつの間にか広場前に手押し屋台が停まっていた。甘い香りに誘われフラリと足を伸ばす。
「おっ、ツイてるねぇ」屋台のオヤジが僕に焼き芋を掴ませた。「食え。金はいらん」
売れ残りだろうか。一口かじる。まだホクホクで美味い。
「安納芋だ」
「あんのう……」
「人生、Unknownってな」
凍てついた心の底で、何かが湧き立った。黙々と芋を貪る。そして顔を上げた時には屋台もオヤジもドラッグも消えていた。
僕の手に残された焼き芋の包み紙。それを広げる。
「TSUTAYAかよ!」
これは渋谷の魔力か。
しかし奇異もまた一興。
僕は未知なる道を求め、向かいのビルへ歩き始めた。
この街で夢も希望も打ち砕かれた僕は、闇へと堕ちるしかない。ただ、まだ踏ん切りが付かずにいた。
「しーぶやーきいもー」
いつの間にか広場前に手押し屋台が停まっていた。甘い香りに誘われフラリと足を伸ばす。
「おっ、ツイてるねぇ」屋台のオヤジが僕に焼き芋を掴ませた。「食え。金はいらん」
売れ残りだろうか。一口かじる。まだホクホクで美味い。
「安納芋だ」
「あんのう……」
「人生、Unknownってな」
凍てついた心の底で、何かが湧き立った。黙々と芋を貪る。そして顔を上げた時には屋台もオヤジもドラッグも消えていた。
僕の手に残された焼き芋の包み紙。それを広げる。
「TSUTAYAかよ!」
これは渋谷の魔力か。
しかし奇異もまた一興。
僕は未知なる道を求め、向かいのビルへ歩き始めた。
その他
公開:19/11/17 23:10
渋谷
まったり。
2022年…3本
2021年…12本
2020年…63本
2019年…219本
2018年…320本 (5/13~)
壬生乃サル(MiBU NO SARU)
Twitter(@saru_of_32)
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