節目車

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東大寺の正倉院には、まだ一度も公開されていない奈良時代の宝物がある。「節目車」と呼ばれる代物がそれだ。
節目車の外観は、チベット仏教で用いられる仏具、摩尼車に形が似ている。
摩尼車は円筒形で、側面にはマントラが刻まれており、内部にはロール状の経文が納められている。
摩尼車を回転させた数だけ経を唱えるのと同じ功徳があるとされており、転経器とも訳されている。
節目車も円筒形だが、側面にはペルシア語が刻まれており、内部にはロール状の占文が納められている。古代ササン朝の品で、シルクロードの西方から伝わったとされている。
節目車をゆっくり一回転させると、回した者に起こる人生の転機を走馬灯のごとく脳裏に映し出すという。そのため転映器とも訳されている。
この節目車が公開されない理由は、時の権力者が使うと国の将来を予見することになり、時代の趨勢を左右しかねないということで、正倉院から門外不出となっている。
その他
公開:19/11/17 11:55
東大寺 正倉院 奈良時代 宝物 節目 チベット仏教 摩尼車 ペルシア語 ササン朝 シルクロード

SHUZO( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に東京・駒場の日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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