秋の山

2
4

 ふぅー、と口から白い息が漏れる。少し前まで暑さに参っていたのに、今では服も重ね着する程だ。
「もうこんな季節か」
 時間が経つのは早いというが、それを如実に実感した。
 けれども、不快感はなかった。
「涼しくなったな」
 夏と冬。その変わり目がKは好きだ。心が落ち着くのだ。
 杉の葉の隙間から木漏れ日が差し込み、目の前の草木を照らす。遠くの方から鳥の鳴き声が聞こえる。そんな大自然に包まれた山道をKは歩いた。

「はぁ、疲れた」
 山道は思いの外急で、普段運動しないKは息を荒くし始めた。
 山道は蛇行しており、さらに昨日は雨が降ったのだろう。どこからともなく、水が石の隙間を縫って流れていた。
 Kは滑らないように注意しながら歩き続けると、不意にわっと視界が広がった。

 真っ赤に染まる紅葉。染まりかけの紅葉。そして、黄色く輝く銀杏の木。
 それらが彩るコントラストはまさに秋の山だった。
その他
公開:19/11/17 19:43
更新:19/11/19 10:20
紅葉 季節の節目

鳩池圭( 岐阜県 )

書き始めたばかりです。
400文字という限られた中、物語を作るのは難しいですね。
感想お待ちしています。

Twitter

https://twitter.com/hatoikekei
 

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容