推しの誕生
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私が彼を好きになったきっかけは、もう昔すぎて今では覚えていません。
彼はとても素敵な人です。だからたくさんの人に好かれます。みんな気軽に彼に触れてきて、甘い言葉で艶めかしく愛を囁きます。
最初はとても嫌でしたが、いつも賑やかで、華やかで、お洒落で、毎日がお祭りのようで楽しい彼のことを、まったく気にならない人のほうがどうかしてると思います。
そんな彼は、これまで過酷な人生を送ってきました。戦争があり、天災があり、震災があり、環境破壊もありました。でも彼は、壊れるたびに立ち上がり、生まれ変わりました。
そんな彼をずっと見てきて、ついに私は決心しました。もういい。自由にしてあげる。それにやっぱり、ただの推しだけじゃ嫌。私だけの彼でいて欲しい。私は行動しました。
今、この国で『渋谷』と呼ばれている彼は、実は私が作った仮の姿。私だけが彼の正式な妻であり、母であり、そして女神です。
彼はとても素敵な人です。だからたくさんの人に好かれます。みんな気軽に彼に触れてきて、甘い言葉で艶めかしく愛を囁きます。
最初はとても嫌でしたが、いつも賑やかで、華やかで、お洒落で、毎日がお祭りのようで楽しい彼のことを、まったく気にならない人のほうがどうかしてると思います。
そんな彼は、これまで過酷な人生を送ってきました。戦争があり、天災があり、震災があり、環境破壊もありました。でも彼は、壊れるたびに立ち上がり、生まれ変わりました。
そんな彼をずっと見てきて、ついに私は決心しました。もういい。自由にしてあげる。それにやっぱり、ただの推しだけじゃ嫌。私だけの彼でいて欲しい。私は行動しました。
今、この国で『渋谷』と呼ばれている彼は、実は私が作った仮の姿。私だけが彼の正式な妻であり、母であり、そして女神です。
SF
公開:19/11/17 17:33
渋谷
渋谷ショートショートコンテスト
二森(ふたもり)ちると申します。
人生の節目に、二つ目の名前をつくりました。童話や小説などはこの名で執筆しています。
怪談やホラー系は「鬼頭(きとう)ちる」名義で活動しています。
どうぞよろしく。
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