忠猫のぞみ

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 ママは、トイレで頑張っている。もう三十分も籠っている。あたちは、ドアの前で、ママを邪魔するものがいないか見張っている。暇だけどこれもお仕事。ドアの下の隙間に鼻を近づけ、臭いを確認した。まだのようね。ピンクの肉球も隙間から入れてみた。
「のぞみちゃん。ママまだトイレなの、遊べないの」分かっている。誰かが近づいてきたら、この爪で引っ掻いてやるんだから。あたちって渋谷のワンワンより偉い?ふとドアから目を離すと、黒くて光るヤツがいた。二本のヒゲを持つママの天敵だ。あたちの出番だ!フーっ唸り奴を威嚇した。やつは無視してカサカサと前を横切ろうとした。実力行使だ!肉球を振り上げ、ヤツ目がけてバンっと振り下ろす。ヤツはドアの隙間からトイレに逃げ込んだ。「ギャー!」ママは、扉を開けて飛びだしてきた。
 その夜、ママは殺虫剤を片手に、ヤツを探索して回っていた。あたちも、ママを守るため、後ろをついて歩いた。
その他
公開:19/11/16 23:00
更新:19/11/17 14:35

吉村うにうに( 埼玉県 )

はじめまして。田丸先生の講座をきっかけに小説を書き始めました。最近は、やや長めの小説を書くことが多かったのですが、『渋谷ショートショート大賞』をきっかけにこちらに登録させていただきました。
飼い猫はノルウェージャンフォレストキャットです。
宜しくお願い致します

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