トリックオアトリート芸者

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「今日こそ、話しかけるぞ」僕は、決意してコンビニに向かった。話しかけるきっかけにと、お菓子を持った。円山町の狭い道を抜ければ、近道だ。
 あの娘は、留学生かな?目がぱっちりして片言の日本語で懸命に働いている。
 ふと、ホテルの前にある祠に気づいた。お祈りしようと覗き込むと、仏様が泥で汚れていた。持っていたミネラルウォーターで洗い流す。
「あら、ええ男や。お菓子くれる?」振り返ると、綺麗な着物姿の芸者がいた。
「え?」「ハロウィンですやん」仕方なく菓子を渡すと、「お兄さん遊んでいきましょ」「いや、お金ないです」「うちの奢り」
料亭に連れていかれ、酒と食事を振舞われた。
「お兄さん顔固い、女の子には笑顔」「手を握るタイミングはね」なぜか、デートの作法を教わる。扇子でお猪口を倒すゲームまでして、負けると飲まされた。気がつくと、僕はコンビニ近くのベンチで寝ており、留学生が心配そうに僕を見ていた。
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公開:19/11/17 11:45
更新:19/11/17 16:02

吉村うにうに( 埼玉県 )

はじめまして。田丸先生の講座をきっかけに小説を書き始めました。最近は、やや長めの小説を書くことが多かったのですが、『渋谷ショートショート大賞』をきっかけにこちらに登録させていただきました。
飼い猫はノルウェージャンフォレストキャットです。
宜しくお願い致します

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