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パパの急な用事で、旅行は中止になった。
「おい、どうだったんだよ。渋谷は」
山田君が話し掛けて来た。
「う、うん。すごく楽しかった」
「渋谷ってどんなとこなの?」他のクラスメイトも集まって来た。
「えーと。大きな、谷があった」
おぉー、と皆がどよめく。
「他には?」
「あとは……」頭をフル回転させる。「そこの水を舐めると、渋かった」
「へぇ~」皆が目を輝かせた。
「じゃあ、授業始めるぞ」
担任の河崎先生がやって来た。
「そういえば先生って東京出身だよね」
「あぁ。渋谷ってとこだ」
しまった、と僕は思った。
「渋谷って大きな谷があるんですか?」山田君が訊ねた。
「そうだなぁ」先生がアゴをさする。「先生が子供の頃、谷があったな」
「そこの水って渋いの?」
「あぁ。鉄が錆びたような味がしたな」
先生が昔を懐かしむように言った。
年齢不詳の河崎先生が言うと、まるで本当のことみたいに思えた。
「おい、どうだったんだよ。渋谷は」
山田君が話し掛けて来た。
「う、うん。すごく楽しかった」
「渋谷ってどんなとこなの?」他のクラスメイトも集まって来た。
「えーと。大きな、谷があった」
おぉー、と皆がどよめく。
「他には?」
「あとは……」頭をフル回転させる。「そこの水を舐めると、渋かった」
「へぇ~」皆が目を輝かせた。
「じゃあ、授業始めるぞ」
担任の河崎先生がやって来た。
「そういえば先生って東京出身だよね」
「あぁ。渋谷ってとこだ」
しまった、と僕は思った。
「渋谷って大きな谷があるんですか?」山田君が訊ねた。
「そうだなぁ」先生がアゴをさする。「先生が子供の頃、谷があったな」
「そこの水って渋いの?」
「あぁ。鉄が錆びたような味がしたな」
先生が昔を懐かしむように言った。
年齢不詳の河崎先生が言うと、まるで本当のことみたいに思えた。
ファンタジー
公開:19/11/17 08:15
更新:19/11/17 08:17
更新:19/11/17 08:17
おっさんになりましたが、夢は追い続けます
「小説は短く、人生は永く」
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