渋谷ですから

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「大臣、渋谷区に入りました」
大臣を乗せた車は夜の渋谷を走っていた。
『シブヤハワレワレガモラッタ』
宇宙省宛てにこの文書が届くのは5度目だった。
差出人は不明。地球には存在しない物質が検出された。
「この混雑では視察ができん。その辺を1周したら戻るぞ」
運転手の返事を待たず、大臣は渋谷の街並みに目をやった。
「どこを見てもわけのわからん言葉ばかりだ」
「えぇ、渋谷ですから」
車は通行人に追い越されながら道玄坂を下っていく。
「なんてヘンテコな格好だ!あれが流行なのか」
「えぇ、渋谷ですから」
やっとのことで車がスクランブル交差点に入った。
「宇宙人が渋谷に集まったのか、渋谷が人を宇宙人にしたのか。いずれにせよ、渋谷に宇宙人が紛れ込んでいてもおかしくはないな」
車が交差点を通過した。
「エェ、シブヤデスカラ」
「クルマヲトメロ、タピッテクル」
停車した車から頭が4つの生物が降りてきた。
SF
公開:19/11/17 05:54

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