現世山賊道玄節

さあさ、お立ち会い！
ここは神無月の終わりの日、狂喜乱舞の歌舞伎者が白字の交差の追分で、のたうち回ったぁ、あの場所よ。
此処へ来たのは、道玄さん。
昔々渋谷の坂でギッタギッタと人を斬り、身ぐるみ剥がした山賊よ。鬼畜生の振る舞いで、人にあらずと死んでも地獄の釜にも入れねぇ。成仏できずあの世をフラフラ。
そしたら仏が言ってきた。
「渋谷で剥いでいいもん剥いでこい。いっぱい取ったら地獄の門を開けてやる」
「承知！今世じゃ不埒なもんは取らねえさぁ！」
♪さあ、身ぐるみ剥がすぜ！ハッハッ波っ波っ波っ！
「剥いでやったぜ、お前のプライド！」
プライド剥がされたってぇ、骨のある奴はここで波を生む。
♪あいや！ドッドッ怒っ怒っ怒っ！
「狂喜乱舞くだらねぇ！」
粗忽者は信頼を剥ぎ取られ、世間の冷たい風しか当たらない。

渋谷って街はなぁ、今も昔も用心して歩くんだな。道玄坂に道玄が舞い戻ってきたんだぜ。