渋谷万国坂の歩み

「スペイン坂はあったがアメリカ坂は何処だ？」
冗談でSNSにアップされた文章は、ノリで便乗した人々を皮切りに「差別だ」等と世界的な炎上を引き起こした。

事態を重く見た自治体を中心とした対策室は、打開策として『万国坂』の新設を決定。

２０ｍに満たないその坂には、半透明の万国旗が世界地図の配置に則りラッピングされたアクリル製の屋根が設けられ、日が当たると白い地面に国旗が映し出される趣向が凝らされている。

「雑な対応」「誤魔化しだ」との意見もあったが、騒ぎは収束に向かい、国内では映えスポットとして渋谷の新たなシンボルとなる。

ある日、別々の国から来日した外国人旅行者同士が「ボーダーレス」の単語と共に、地面に映る母国の旗の上に立って握手を交わす写真をアップした事で事態が一変、国内外から真似をする人々が集まる、人気観光スポットとなった。

こうして渋谷万国坂は世界平和の発信地となったのだ。