紅葉茶

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今年も秋限定の茶寮が開業する。名物は、紅茶でも緑茶でもなく、はたまた烏龍茶でもない「紅葉茶」だ。
京都、日光、高尾山、箱根、鎌倉――全国の紅葉の名所で摘んできた、色とりどりの茶葉を特殊な製法で煎じて飲ませてくれる。
秋が短い、例えば北海道は大雪山産や青森は奥入瀬渓流産、富山は黒部峡谷産などの紅葉茶はレアもので、幻の紅葉茶として嗜まれている。
私のお気に入りは、生まれ育った奈良の紅葉茶だ。奈良の北部は春日山産と南部は吉野山産の茶葉をブレンドしたスペシャル紅葉茶を注文する。
一口啜ると、その産地の香りとともに美しい紅葉の風景が脳裏に広がる。故郷の紅葉茶だと懐かしい望郷の思いにも浸れて格別だ。
紅葉茶に合う茶菓子も充実しており、旬の食材を使った芋羊羹やスイートポテト、和栗のモンブランなど、和菓子から洋菓子まで揃っており、甘党も足繁く通う。
紅葉茶は、食欲の秋に欠かせない季節の風物詩となっている。
その他
公開:19/11/15 21:26
茶寮 紅葉 茶葉 奈良 春日山 吉野山 茶菓子 食欲の秋

SHUZO( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に東京・駒場の日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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