次はどんな色の世界を

「ようこそ、いのちの節目を迎えた皆様」
天上の巨大な扉の番人は高らかに声をあげた。多くの人や動物が集っている。みんな扉のあちらへと向かうところだ
「さて、次はどんな色の世界をお好みですか？お聞きしますよ」
竹取の翁だった人が答える「若竹色じゃ」
リスが言う「いいえ、樹の節穴に作った寝ぐらの焦げ茶色」
すると、ヒバリが口を挟む「♪わたしが〜この節回しで歌って飛んだ〜青空の色がいい〜」等々、やんやとして一向に議論が纏まらない。扉の番人は一計を案じた
「では、皆様ご希望の色を全て混ぜることにします。宜しいですか？」
左耳のない画家の男が異を唱える「それじゃあ黒や灰色になってしまうぞ。嫌な世界だな」
番人は笑みを浮かべつつ一思いに扉を開けた。神々しく眩い真っ白な光が一斉に射し込む… … …
あらゆる色を内包したその光彩はやがて分散して、皆に望み通りの世界を見せ、ひとりひとりを柔らかく包んでいった…