渋谷でナンパはじめました。

俺は、コミュ障だ。
自分を変える決意をした。
ナンパしかない。ナンパだ。
ナンパの聖地と言えば、渋谷。
ここで俺は、人生を変える。
但し、誰かに声をかけ、呼び止めるというのは容易ではない。
まずは呼び止める練習からしないと。
その時、街を走るタクシーが目に入った。
「へ、ヘイタクシー」
タクシーが俺の前で停まった。
俺は、タクシーを停めることに成功した。
よし、やったぞ。ここから、俺の伝説は始まる。千里の道も一歩から。くるしゅうない。くるしゅうないぞ。
それから一日中、タクシーを停めては降り、停めては降りを繰り返した。
そうこうしているうちに気がつけば日が暮れていた。そして夜の109を眺めながら俺は思った。今日から渋谷が、俺の庭だ。伝説はまだ、始まったばかり。見てろギャルたちよ。まぁ、とりあえず今日はここまでにしといてやるか。
俺はギリギリの電車賃を握りしめ、駅へと歩いた。