お化け屋敷

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お化け屋敷ほど「怖くない」ものはない。
そんなふうに西村は思っている。
例えば、受付にはこんなふうに書かれている。
「お化けは決してお客様の身体には触れません。殴ったり物を投げたりしないよう願います」
案の定、西村は何度もお化けに脅かされたりはしたが、命の危険を感じることはなく出口までやって来た。
「これにて一部は終わりでございます。続きまして二部へお進みください」
二部もそこまで代わり映えすることもなく、西村は無事に出口までたどり着いた。
「続きまして、三部へお進みください」
いったい何部まであるのかと西村はスタッフに尋ねた。
「十部までご用意しております」
西村は心を決めて、十部の出口まで足を進めた。かれこれもう二、三時間はお化け屋敷の中にいるだろうか。
「これにて一章は終わりです。続きまして二章の一部からお楽しみください」
西村は嫌な汗を書き始めた。
本当の出口はどこなのか。
ホラー
公開:19/11/14 18:52

水素カフェ( 東京 )

 

最近は小説以外にもお絵描きやゲームシナリオの執筆など創作の幅を広げており、相対的にSS投稿が遅くなっております。…スミマセン。
あれやこれやとやりたいことが多すぎて大変です…。

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