クズ野郎

私はクズ野郎だ。

エレベーターに乗ろうとした時に、中から手押し車の老女が出て来ようとしてモタついていたので、扉を押さえて待っていたら、すぐ後ろに並んでいた人にどつかれた。私が悪かったのだろう。

車を運転していた時、信号のない横断歩道を渡ってコンビニに行こうとする老人がいたから、止まって｢どうぞ｣と合図をしたので彼が横断し始めたところ、左後ろから来たスクーターが猛スピードで突っ込んで事故になった。私が止まらなければよかったのだろう。

人通りの少ない街中で突然妙齢の女性が倒れた時、AEDを使うために女性の服をずらしたら、無事に蘇生した相手から、そのことで損害賠償請求をされた。私が見て見ぬ振りをして通り過ぎればよかったのだろう。

私の人生はこんな調子でどうしようもないことばかり起こる。すべては私がクズ野郎だからに違いない。神よどうかお許しくださいませ。

衰弱死した男の顔は笑っていた。