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「ようやく手に入りました」との報を受け、海沿いのリストランテへ向かった。シェフが、眉目秀麗で無口な男を紹介し、彼が調達してきたのだと言う。
「で、どんな肉だ?」と尋ねると、シェフは表情を曇らせた。
「お考えになられているモノとは、少々違っているかもしれません」
タッパーの蓋をあけると、そこには痙攣するように絡み合う二枚の舌が入っていた。
「他の部位には毒をもつ寄生虫がびっしりで。タンには寄生虫がいないのです。人魚は美しい男を好みますので、こいつが恋仲になって接吻をして……」
「で、もう一枚は?」
「それはこいつのです。どうあっても離れないもので」
「これを焼くのか?」
「いえ。不老不死の成分は熱に弱いので生でどうぞ。こいつの舌は、食べても別に害にはなりません。ただ、ご自身の舌を絡めとられませんように」
死んだ舌に絡みついている生きている舌が、豪奢な皿に盛り付けられた。
「召し上がれ」
「で、どんな肉だ?」と尋ねると、シェフは表情を曇らせた。
「お考えになられているモノとは、少々違っているかもしれません」
タッパーの蓋をあけると、そこには痙攣するように絡み合う二枚の舌が入っていた。
「他の部位には毒をもつ寄生虫がびっしりで。タンには寄生虫がいないのです。人魚は美しい男を好みますので、こいつが恋仲になって接吻をして……」
「で、もう一枚は?」
「それはこいつのです。どうあっても離れないもので」
「これを焼くのか?」
「いえ。不老不死の成分は熱に弱いので生でどうぞ。こいつの舌は、食べても別に害にはなりません。ただ、ご自身の舌を絡めとられませんように」
死んだ舌に絡みついている生きている舌が、豪奢な皿に盛り付けられた。
「召し上がれ」
ホラー
公開:19/11/15 12:21
更新:19/11/15 16:25
更新:19/11/15 16:25
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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