屈み

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無念は言葉にしないと多情に伝わり切らない。その言葉通り、彼はこの地に多情を残してこの世を去ろうとした。

ベッドで寝静まる彼。一命はとりとめたもののベッドで穏やかな表情を見せて眠る。その様子をいつか起きるとわらわらと職場の同僚や上司・以前の学友たちが挙って見舞いに来てはベッドを囲んで言葉を放つ。

その様子を、ただ静観していたのはまだ小学校に入ったばかりの初々しい彼の娘だった。皆が悲壮感を帯びた顔を見せたり涙を流して命を尊いものだと語りだす中でも、ただ一人女の子は静かに様子を見ているだけ。
その姿に違和感・不信感を募らせる大人。我慢をしていると悟る者もいた。
だが、そんな人だかりも一瞬でなくなる。その一日だけ。その様子をまるで分っていたように娘は言った。



「パパを殺したのはあの人たち」
娘は知人の手帳を握りしめて、表情を歪ませた。
この時娘と復讐を誓ったことを今でも忘れない。
その他
公開:19/11/14 01:28
復讐

誉野史( 愛知 )

はじめまして!
お立ち寄り頂きありがとうございます。
誉野史と申します。

現実世界ではよく知らない人に声をかけられやすいタイプで通っています。
なので、気軽に声をかけてください。

ジャンルは様々。
思いつくままに。

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