死の理由

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私は死んだ。
車に轢かれて死んでしまった。
こんな死に方は嫌だった。
私は赤信号の交差点を渡ろうとして死んだのだった。
急いでいたというのはたしかにある。
しかしだからといって赤信号をよく確認もせずに渡るほど無謀な自分ではなかったと思っている。
私はたしかに青信号だと思ったのだ。
そう信じていた。
ではなぜ青信号だと思ったのか。
魂は肉体から離れ天に向かって上昇してゆく。
そのとき、私の目にはやはり青信号が見えた。ただし、その青信号はビルの窓ガラスに映り込む青信号だった。
ああ、そういうことか。
その窓ガラスは45度の傾きをして、赤信号のちょうど直角にあたる青信号の色を映し出していたのだ。
急いでいた私はそのとき青だと信じたかったのだ。
ビルを設計した人物は、まさかそれが原因で人が一人死ぬとは思いもしなかったことだろう。
だがもうこの真相を語る者はいない。
ミステリー・推理
公開:19/11/13 22:41

水素カフェ( 東京 )

 

最近は小説以外にもお絵描きやゲームシナリオの執筆など創作の幅を広げており、相対的にSS投稿が遅くなっております。…スミマセン。
あれやこれやとやりたいことが多すぎて大変です…。

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