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高校二年生の二学期の中間試験初日の一限目は「地理」で、試験監督は、全校生徒から嫌われている体育教師だった。
その日の朝。僕は運悪く上履きを隠されていて、体育館用シューズを履いていた。それが教師に見つかった。
「おい。てめえ何でこんなもん履いてんだよ」と怒鳴りながら、教師は僕の足を椅子の横から蹴り続けた。「あ~あ。こいつのせいで、お前ら試験受けられねえぞ。かわいそうになぁ」
足を蹴られ続けた僕はとうとうバランスを崩した。身体が教師の方へ倒れ、右手がぐるりと弧を描いて教師の右目の上に当たった。さらに椅子から落ちる僕に押されて、教師は後頭部から窓に突っ込んだ。
教室は騒然となりテストは延期になった。全員が「事故だ」と証言した。教師は頸椎を痛め後遺症が残ると聞いた。
僕は恥ずかしかった。
倒れる寸前まで、僕は右手に削りたての鉛筆をしっかりと握っていたのに……
僕は、いくぢなしだった。
その日の朝。僕は運悪く上履きを隠されていて、体育館用シューズを履いていた。それが教師に見つかった。
「おい。てめえ何でこんなもん履いてんだよ」と怒鳴りながら、教師は僕の足を椅子の横から蹴り続けた。「あ~あ。こいつのせいで、お前ら試験受けられねえぞ。かわいそうになぁ」
足を蹴られ続けた僕はとうとうバランスを崩した。身体が教師の方へ倒れ、右手がぐるりと弧を描いて教師の右目の上に当たった。さらに椅子から落ちる僕に押されて、教師は後頭部から窓に突っ込んだ。
教室は騒然となりテストは延期になった。全員が「事故だ」と証言した。教師は頸椎を痛め後遺症が残ると聞いた。
僕は恥ずかしかった。
倒れる寸前まで、僕は右手に削りたての鉛筆をしっかりと握っていたのに……
僕は、いくぢなしだった。
青春
公開:19/11/13 22:20
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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