渋の谷のギャルシカ

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駅前の道路を巨大なミルクティーが埋め尽くす。脱皮を繰り返し、数十mにサイズアップしたカップは、14個のタピオカを真紅に染めて渋谷駅に迫っていた。
「ミルクティーの怒りは大地の怒りだに」
「ヤマンバ様、みんな死ぬの?」
「インスタ映えを続けた罰だに。仕方ないだに」
歩行者信号が青に変わり、ミルクティーの大群が渋谷駅に押し寄せた。復活したハチ公がドロドロの肉体をスクランブルへ向けた。
「腐ってやがる。早すぎたんだ」
「焼き払え!」

ワオォォン!

ハチ公の口から閃光が放たれ、数十杯のミルクティーが消滅した。しかし2発目を打つ前にハチ公の体が傾ぐ。
「どうした化け物、さっさと撃たんか!」
崩れるハチ公。
「駄目だ、逃げろー!」
皆が山手線に駆け込み乗車する中、改札前に降り立つ一人の女性。
「ギャル姉様!」
「無茶だ!」
彼女は両手でカップを掴むと、ストローを口に咥えて吸い上げた。
「うまっ!」
ファンタジー
公開:19/11/14 12:17
更新:19/11/17 16:43

のりてるぴか( ちばけん )

月の音色リスナーです。
ようやく300作に到達しました。ここまで続けられたのは、田丸先生と、大原さやかさんと、ここで出会えた皆さんのおかげです。月の文学館は通算24回採用。これからも楽しいお話を作っていきます。皆さんよろしくお願いします。

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