自撮り棒殺人事件

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「犯人は気鋭の彫刻家、室田天明さん、貴方ですね」
 探偵は青ざめた顔で深刻に語った。
 殺害現場に集まった人々は驚きをもって室田を見つめた。
「まさか、貴方が犯人だったなんて…」
室田は不適に笑った。
「聞かせてもらいましょうか、探偵さん。ここは奈良。その日、青森にいたはずの私がどうやって彼を殺害したのか」
「実に驚くべきトリックですよ。このテラスに設置された、両翼を広げた大きな鳳凰像。これを背後に自撮りをするには、テラスの手すりからさらに自撮り棒を伸ばさなくては、すべてを画面に収めることはできません。被害者はどうしてもその写真を撮りたかった。なぜなら、彼は貴方の熱烈なファンだったからです」
「あ…」
 三階テラスにいる人々の視線の先には、電線が風に揺れていた。
「まさか、感電して転落死したの?」
「この自撮り写真、探偵さんも奥に写ってますね」
女刑事が言った。
「手にはスタンガン…」
ミステリー・推理
公開:19/11/14 07:45

水素カフェ( 東京 )

 

最近は小説以外にもお絵描きやゲームシナリオの執筆など創作の幅を広げており、相対的にSS投稿が遅くなっております。…スミマセン。
あれやこれやとやりたいことが多すぎて大変です…。

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