世界制服の日

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朝ベッドで目覚めると、あたしの寝間着がセーラー服になっていた。
「えっ、何よこれ!?」
母さんがいたずらでもしたのかと思い、階段を下りて行くと、その母もセーラー服で台所に立っていた。
「えっ、何で!?」
「朝起きたら、全部の服がこうなのよ」
新聞から顔を出した還暦過ぎの父もセーラー服を着ていた。
「どうしたものか⋯⋯」

あたしは恐る恐る外へ出た。
近所のおばさんおじさんだけでなくお年寄りや園児まで、老若男女の区別なく全員がセーラー服を着ていた。
「何で!?」
大通りに出ても、やはり同じように全ての人がセーラー服を着ていた。
その場に呆然と佇んでいると、大きな街宣車に乗った矢部総理がやってきた。
もちろんセーラー服だ⋯⋯。

そして総理はマイクを手に取ると、高らかに宣言した。
「ついに我々は世界制服を成し遂げました!」
ああ、このぶんじゃ日本人全員がセーラー服を着ているに違いないわ──。
SF
公開:19/11/13 19:20
更新:20/07/01 13:17
11月29日「いい服の日」 ショートショートカレンダー

渋谷獏( 東京 )

(੭∴ω∴)੭ 渋谷獏(しぶたに・ばく)と申します。 小説・漫画・写真・画集などを制作し、Amazonで電子書籍として販売しています。ショートショートマガジン『ベリショーズ』の編集とデザイン担当。
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