未来幻燈機

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私はリニューアルオープンした蔦屋に訪れた。
超高層のビルに入ると巨大な棚が延々と続き、そこには古今東西の物語が並んでいた。エスカレーターに乗り階を進むと、懐かしいビデオテープが置いてあるのも目についた。
「もっと古い物もございますよ」
店員に案内され、さらに上の階へと進む。
丸缶に入った16ミリのフィルムを映写機にかけると、ちょび髭の喜劇役者が動き出した。
「あはは、おもしろーい!」

しかし、今日の目的は最新式の立体映写機なのだ。
最上階に行くと、私は持参したビデオテープを店員へ差し出した。映写機が情報を読み取ると、エキゾチックな顔をした異国の男が現れた。
「ああ、ついに夢が叶うのね!?」
男は軽くおじぎをすると、私の手を取ってキスをした。
私たちは制止する店員たちを押しのけ掻きわけ、スクランブル交差点の中央にやってきた。

そして、王様と私は華麗にスキップを踏みポルカを踊り始めた──。
ファンタジー
公開:19/11/13 19:19
更新:19/11/17 02:13

渋谷獏( 東京 )

(੭∴ω∴)੭ 渋谷獏(しぶたに・ばく)と申します。 小説・漫画・写真・画集などを制作し、Amazonで電子書籍として販売しています。ショートショートマガジン『ベリショーズ』の編集とデザイン担当。
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