シネフィルのきみに

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 「映画が死んだって気がついた日、あたしは悲しくて泣いても泣いても足りないくらい大泣きしたんだ」って、シネフィルであるきみはつぶやいた。
 もちろん現代の映画でいいものもたくさんあるけど、きみが好きだったのは古い映画で、例えば「ローマの休日」とか「山猫」とかだった。
 でもさ。
 くよくよしていてもしょうがないよ。
 街に出よう。
 真夏の陽射しが煌めく夢のようなこの街も、物の見方次第では映画のように輝く世界にきっとなりうるから。
 暑いねって言いながら、タピオカミルクティーのカップ片手に通りを歩くきみだって、映画のなかのヘップバーンなんか目じゃないくらい輝いている。
まるで古い映画のレビューのワンシーンみたいだ。
ねぇ。シネフィルであるきみのマニアックな感性で、世界、見返してやろうよ。
 オマージュ連発の映画にはうってつけの「オールドシネマレビュー」っていうタイトルの作品でさ。
青春
公開:19/11/13 20:00
更新:19/11/16 09:32

ナナン( 東京、埼玉、神奈川 )

ナナンです。
小説と詩とエッセイと評論を書いています。
不眠や恋愛やJazzをテーマに作品を執筆しています。
ブックショートアワードの優秀賞も受賞したことがあります。
文月悠光先生の詩のクラスにも参加しています。
保身のためのJazzならそれはJazzではない。なぜならJazzはアヴァンチュールそのものだからだ。

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