十代の潜水生活

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「君達は今、一つの節目を迎ようとしている。節目とは物事の区切り目、つまり……」
体育館では、まだ校長の話が続いている。私は学校を抜け出し、ケルプの森を越えてアカサンゴの木が生えた崖に到着した。
彼はまだ来ていないようだ。暇潰しをしようと崖の先へ歩を進めてみる。
そして、放牧されたジンベエザメの群れが見えなくなる程潜れば、そこは水深200m。この世界の区切り目とされる場所。
私はスソウミヘビの踊り子とじゃれあいながら、自分のゴツゴツした体が柔らかくなっていくのを感じていた。
(こういうのも悪くないな……)
ふと顔を上げると、崖の縁に赤の反射光を受けた人の姿が、小さく見えた。
(遅いよ……相変わらずだな……)
私は浮上しながら、伸ばした触手が人の手に戻っていくのを感じていた。
ファンタジー
公開:19/11/13 13:00
更新:19/11/18 11:44
節目 タイトルは 佐野元春さんの楽曲から

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