最高の死に方
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「案外普通の棺ですね」
女はスーツ姿の男に向かって言った。
「そうですね。お客さんがこの棺に入ったら、予めいただいている何百枚の写真で埋め尽くして電流を流します。その後は先ほど説明した通りです」
「過去の思い出を遊泳しながら幸福な気持ちで安楽死できる、ですよね」
「そうです」
「そんなに楽しく死ねるなら、普通に死ぬより絶対こっちの方がいいですね」
「そうなんですかねぇ。本当に人生に納得感を持って生きた人はこんな死に方は選びませんよ」
男は薄い笑みを浮かべていた。
それが女の怒りに油を注いだ。
「これから死ぬっていうのになんでそんなことを言うんですか?なんであなたに言われないといけないんですか?」
「これは失礼しました。ただ、あなたを特別に責めて言ったのではないということは分かってください」
男は一呼吸置いて続ける。
「僕も明日安楽死なんです」
2人は声を出さず静かに泣いた。
女はスーツ姿の男に向かって言った。
「そうですね。お客さんがこの棺に入ったら、予めいただいている何百枚の写真で埋め尽くして電流を流します。その後は先ほど説明した通りです」
「過去の思い出を遊泳しながら幸福な気持ちで安楽死できる、ですよね」
「そうです」
「そんなに楽しく死ねるなら、普通に死ぬより絶対こっちの方がいいですね」
「そうなんですかねぇ。本当に人生に納得感を持って生きた人はこんな死に方は選びませんよ」
男は薄い笑みを浮かべていた。
それが女の怒りに油を注いだ。
「これから死ぬっていうのになんでそんなことを言うんですか?なんであなたに言われないといけないんですか?」
「これは失礼しました。ただ、あなたを特別に責めて言ったのではないということは分かってください」
男は一呼吸置いて続ける。
「僕も明日安楽死なんです」
2人は声を出さず静かに泣いた。
その他
公開:20/01/26 09:00
更新:20/01/26 14:09
更新:20/01/26 14:09
スクー
写真遊泳
ショートショートに魅入られて自分でも書いてみようと挑戦しています。
悪口でもちょっとした感想でも、コメントいただけると嬉しいです。
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