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古ぼけたレコード盤から聞こえてくる知らないメキシコ人歌手の甘ったるくて切なくてちょっと胸やけしそうなクドい声。ルイス・ミゲルをもっと濃厚にしたような、黄色い日差しと排気ガスの香りに彩られた街角を思い出すフレイバーが漂う歌だ。付属の訳詞を読むと、こんなフレーズだった
 
懐かしい思い出の風景に降りしきる
目の前に伸ばした手のひらさえ
霞んでしまうほどのスコール
あの国は朝8時前でも平気で汗ダラダラ流すぐらい暑くなるけど、
立ったまま溺れるレベルのスコールが降るから夕方からは涼しくなる

排気ガスの匂いが雨上がりの舗装路で陽炎になって立ち昇る。スコールが止めば再び太陽が顔を出す。夕暮れ前、最後の力を振り絞って真っ赤に燃えた太陽のギラつく光が差し込む天窓。部屋の隅に山積みになったガラクタに埋もれた壊れかけのオルゴールがか細い音色で歌うのは、懐かしく甘ったるいメロディ
青春
公開:20/01/25 20:16

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