雪の匂い

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冷たい雪が積もった山梨。なのに、スタッドレスを履かずに車を走らせている。
「危ないかも」
俺は慎重に運転した。暖房が効いた車内は快適すぎて、ついには眠気が助手席に座った。寒さを承知で車の窓を全て開け放つ。
「ひえええ!!」
俺の横にいた眠気は飛んで行った。

眠気の代わりに、雪の匂いが入ってくる。懐かしいこの匂い。地元は雪が降らないことで有名だが、高校2年の冬、どっさり降った日があった。あの日の匂いだ。

「付き合ってください」
「…ごめんね、友達としか…」

クラスのマドンナ、叶わないって思ってた。でもいつもは降らない雪に惑わされて、俺、いけるかもって思ったんだ。

今夜は思い出を肴にしよう。甘口で、かつ淡麗。君のような、雪のような酒が飲みたい。
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公開:20/01/27 01:11

みみ

むかし話、おとぎ話が小さい頃から大好きです。
誰かの目に留まるような物語が書けるように頑張ります!

コメントや☆をつけてくださる方、本当にありがとうございます。嬉しいなぁ、幸せだなぁと心から思いますm(_ _)m

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