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老婦人は飾り棚のサボテンに、そっと語りかけた。
「…もう生きていても仕方ない。おまえを置いていくのを許しておくれ」

―先頃、老婦人は悪質な詐欺に遭い、蓄えを全て騙し取られてしまった。身寄りとてなく、もはや生きる術もない。欄間にかけた縄に首を入れ、迷わず足元の台を蹴った。小さな身体が飾り棚の脇にだらりとぶら下がる。
欄間がみしり、と軋んだ。

「婆さん、結構なアガリでしたね」
「老いぼれ婆あより、俺たちの方が金も喜ぶさ。よし早速…うあっ!」
リーダーが突如頭を抱えて倒れた。
「どうし…ぎえっ」
「ぎゃあっ」
部屋は阿鼻叫喚の巷と化し、みな次々と倒れていった。

「…何とも奇妙ですね。ある者は眼球、ある者は全身、リーダーに至っては脳にびっしり棘が生えています」
医者は首を傾げた。

その頃老婦人の家では、殆ど棘の抜け落ちたサボテンが血のような赤い液体を流し、飾り棚の上で静かに枯れ果てていた。
ホラー
公開:20/01/26 23:48
更新:20/01/28 21:33
勝手にホラー修行週間 目標4作品 何とか4作目 へろへろです 応援ありがとうございました

秋田柴子

お立ち寄り頂き、ありがとうございます。

2018年より創作を開始。
  東京新聞300文字小説が主戦場。
2019年は初めて他の文学賞に応募。
  11月よりSSGの住人
2020 年は短編小説の文学賞にも応募。

https://twitter.com/CNecozo

東京新聞300文字小説 優秀賞

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