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老婦人は飾り棚のサボテンに、そっと語りかけた。
「もう生きていても仕方ない。おまえを置いていくのを許しておくれ」
―先ごろ老婦人は悪質な詐欺に遭い、蓄えを全て騙し取られてしまった。身寄りとてなく、もはや生きる術もない。欄間にかけた縄に首を入れ、迷わず足元の台を蹴った。小さな身体が飾り棚の脇にだらりとぶら下がる。
欄間がみしり、と軋んだ。
「婆さん、結構なアガリでしたね」
「老いぼれ婆あより、俺たちの方が金も喜ぶさ。よし早速…うあっ!」
リーダーが突如頭を抱えて倒れた。
「どうし…ぎえっ」
「ぎゃあっ」
部屋は阿鼻叫喚の巷と化し、みな次々と倒れていった。
「…何とも奇妙ですね。ある者は眼球、ある者は全身、リーダーに至っては脳にびっしり棘が刺さっています」
医者は首を傾げた。
その頃老婦人の家では、殆ど棘の抜け落ちたサボテンが血のような赤い液体を流し、飾り棚の上で静かに枯れ果てていた。
「もう生きていても仕方ない。おまえを置いていくのを許しておくれ」
―先ごろ老婦人は悪質な詐欺に遭い、蓄えを全て騙し取られてしまった。身寄りとてなく、もはや生きる術もない。欄間にかけた縄に首を入れ、迷わず足元の台を蹴った。小さな身体が飾り棚の脇にだらりとぶら下がる。
欄間がみしり、と軋んだ。
「婆さん、結構なアガリでしたね」
「老いぼれ婆あより、俺たちの方が金も喜ぶさ。よし早速…うあっ!」
リーダーが突如頭を抱えて倒れた。
「どうし…ぎえっ」
「ぎゃあっ」
部屋は阿鼻叫喚の巷と化し、みな次々と倒れていった。
「…何とも奇妙ですね。ある者は眼球、ある者は全身、リーダーに至っては脳にびっしり棘が刺さっています」
医者は首を傾げた。
その頃老婦人の家では、殆ど棘の抜け落ちたサボテンが血のような赤い液体を流し、飾り棚の上で静かに枯れ果てていた。
ホラー
公開:20/01/26 23:48
更新:21/08/26 11:11
更新:21/08/26 11:11
勝手にホラー修行週間
目標4作品
何とか4作目
へろへろです
応援ありがとうございました
2019年11月、SSGの庭師となりました
現在は主にnoteと公募でSS~長編を書いています
留守ばかりですみません
【活動歴】
・東京新聞300文字小説 優秀賞
・『第二回日本おいしい小説大賞』最終候補(小学館)
・note×Panasonic「思い込みが変わったこと」コンテスト 企業賞
・SSマガジン『ベリショーズ』掲載
(Kindle無料配信中)
【近況】
第31回やまなし文学賞 佳作→ 作品集として書籍化(Amazonにて販売中)
小布施『本をつくるプロジェクト』優秀賞
【note】
https://note.com/akishiba_note
【Twitter】
https://twitter.com/CNecozo
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