君がくれた奇跡

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それは人間の言葉は話さない。
でも僕にはわかる。赤く光れば怒ってて、オレンジなら喜んでる、黄色はびっくりして、青は心配や淋しい。僕が話をすればきらきらと相槌を打ってくれる。あらゆることを打ち明けてきた。友達とのけんか、先生に叱られたこと、フリーキックを決めたこと、席替えであの子の隣になったこと。
心がどくどく波立っても、この手のひらに話し掛けるうちに、だんだん落ち着いて、やがて眠りにつける。世界に一つしかない僕の相棒で、そして、お守りだ。
―村田くん、ちゃんと前見て。
やべっ、油断禁物。
ある日、ふと気づいた。これ、信号で、解読できんんじゃね?

「その日から、私は宇宙と交信できるようになりました。運気を読み、幸運を引き寄せ、巨万の富を築いた秘密を皆様にもこうしてシェアさせていただくに至りました」

〈宇宙がくれた奇跡セミナー〉のブースには「隕石の欠片」という札を添えた石が並んでいる。
その他
公開:20/01/26 21:00
スクー 手の中のクレーター

こぶみかん( 関西 )

ssの庭に迷い込んだこぶみかん。数々のお話の面白さに魅せられ、通い始めた。
気が付いたら、庭の片隅に挿し穂されていた。
いつか実を結ぶまでじっくり育つといいね。

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