付苦袋

お正月、商店街を歩ていると福袋ならぬ付苦袋が売られていた。何これ？
大、十円。中、百円。小、千円。間違っていない？
「間違いではございません。この袋には様々な苦役が入っています。故に大が安いのです」
説明を受けている最中も次々と客が訪れては小の付苦袋を購入していく。
これが一番人気なのかと試しに購入した。

私は風邪を引き、長く寝込む事になった。
だがその間、夫や子供達が家事をやってくれた。私のありがたみを理解してくれた。
成程。風邪を引くのもいいかもしれない。

私は付苦袋の虜になった。小は売り切れていたので中を買った。
私は交通事故に遭い数カ月入院する事になった。
しかし加害者が誠実な人で入院費は勿論見舞金としてかなりの額を私にくれた。

退院した日、その足で私は残っていた大の付苦袋を購入した。
再び事故に遭った私は帰らぬ人となった。
しかし多額の保険金と保証金で借金は帳消しとなった。